エッセイを書くコツ〜文章の書き方が分からないという人のための今すぐ実践できる文章上達講座
*文学賞選考委員による文章上達講座エッセイ編
*エッセイをかくにあたってのコツ❶「着地点のイメージを明確にもとう」
*エッセイをかくにあたってのコツ❷「着地点に向かって、とりあえず書いてみよう」
*エッセイをかくにあたってのコツ❸「うまく書こうと思わない・嘘を書く」
*エッセイをかくにあたってのコツ❹「推敲こそ、命」
エッセイはいまだかつてなく、求められている
僕は、かつて大手の出版社で、それなりの賞をもらったことがあります。
小説でした。
その頃はまだバブルの残り香もあり、初回部数は、1万部でした。
ただ、その後、小説は結局、書けませんでした。
原因は、
多分、才能なのでしょう。
その代わり、といってはなんですが、
その後、同じ出版社から、ノンフィクションをひとつ、
そして、老舗の新書文庫から数冊、
さらにはいわゆるお洒落系の雑誌での連載や、
当時、わりと盛り上がっていたテレビドラマのノベライズ、なども手掛けました。
現在は、いくつかの文学賞の選考委員をしています。
そんな僕ですが、
これから、文章の書き方について、シリーズで記事をアップしていきたいと思います。
第1回目は、エッセイの書き方です。
ちまたでは、エッセイを書く力が、これまで以上に求められています。
例えば、WEBライターの需要
例えば、エッセイ賞の創設
など、実は、密かに盛り上がっているのです。
エッセイをうまく書く力をつけると、人生が広がります。
ということで、いくつかのコツをお届けしようと思います。
エッセイをかくにあたってのコツ❶「着地点のイメージを明確にもとう」
エッセイ、というのは、
日々の生活の中で起こったこと、または、見聞きしたことを、
膨らませて、
ちょっとした時間、読み手を、自分の文の力で、異世界に引き込む
そうした文章です。
素材は、あらゆるところに転がっています。
過去、実際にあったこと。
生活のなかで起こった、ちょっとしたこと。
テレビやメディアで見聞きしたこと。
そうしたものを素材に、何かひとつ、自分の独特な見方を提示できれば、
エッセイは、それで大成功です。
そのためには、
❶ 素材を決めたら
❷ その素材から引出される着地点を明確にする。
ということがとても大切です。
そして、その着地点が思いついた時点で、
ほぼ、エッセイを書く作業は、終わっているのです。
エッセイをかくにあたってのコツ❷「着地点に向かって、とりあえず書いてみよう」
着地点が決まったら、とりあえず、書いてみましょう。
あれこれ考えていても、仕方ありません。
書き出しで詰まる人も多いでしょう。
「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」
「吾輩は猫である」
「永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた」
どれも、すごい書き出しです。
超有名な書き出しです。
でも、こんな書き出しを考えていると、いつまで経っても書くことはできません。
多分100年経っても書けないでしょう。
だって、上の例は、天才のヒトが書いた書き出しですから。
だから、
なんでもいいのです。
つまらないなあ、と思う書き出しでいいのです。
今、原稿用紙と万年筆で書いている人は、多分、いないでしょう。
みんなパソコンで書いている、と思います。
ということは、いくらでも、直すことができます。
ということで、
二つ目のコツは
❶ とにかく、書き出そう。
です。
エッセイをかくにあたってのコツ❸「うまく書こうと思わない・嘘を書く」
あとは、書くのみです。
うまく書こうと思わないことです。
かっこいい比喩、
みたいなことは、考えなくていいです。
とにかく着地点に向かって、
物語を一気に書き上げるのです。
そして、大切なことがあります。
生活のなかで起こった実際にあったノンフィクションでも、
それを素材にすると決まった時点から、
それはフィクションに転化するのです。
つまり ウソ を書いていいのです。
だって、、これは、ほんとにあったことだから、
できるだけ正確に書かないと、
という意識は捨てましょう。
事実は、男の子の話だったとします。
でも、思いついた着地点にふさわしいのが、女の子の話だったとします。
であるなら、女の子の話にしちゃうのです。
えー、だって、これは、〇〇くんの話だから。
なんて、律儀に思わなくていいです。
読む人は、〇〇くんのことは、まったく知らないのですから。
ということで、三つ目のコツは、
❶ うまく書こうと思わない。
❷ ウソを書く。
です。
エッセイをかくにあたってのコツ❹「推敲こそ、命」
そして、ようやく着地しました。
出来上がったのです。
あなたのエッセイが出来上がったのです。
だいたい、出来上がったとき、というのは、ドーパミンが出まくっていて、興奮しています。
「やったーーーーーーーーーーーー!!!」
と、いった感じで、とにかく、普通ではありません。
これは、傑作だ!
と、目は血走っていることでしょう。
だからこそ、その原稿は、2、3日、放置してください。
放置プレイをしてください。
これがとても大切なのです。
その間に、書き上げた時の興奮が、治まってきます。
そして
ようやく、その原稿に、もう一度、目を通します。
すると、いろいろなメッキが剥げています。
あれ?
こんなだっけ?
と、思ったら、しめたモノです。
そこから、
その、あれ? を減らしていく作業をするわけです。
基本的には、
言葉を減らす方向で、推敲します。
ダイヤモンドも、
原石を掘り出したときは、まだ、ただの石ころです。(たぶん。みたことないけど)
でも、それを専門家が、きれいに磨き上げて、削り上げて、ようやく、あのすばらしい輝きをもつダイヤモンドになるのです。(たぶん、、、、、)
エッセイも同じです。
最低、10回は、
時間を置いて、読み返しましょう。
それで、ようやく、納得したら、
もし、エッセイ賞に応募するなら、これだけの作業をした後でしょう。
ただし、重要なのは、
推敲しすぎない、
ということです。
文章には、勢い、というものがあります。
推敲しすぎると、その勢いがなくなって、
つまらない文字の羅列になることがあります。
そうなったら、前の、
まだ勢いのある文に、
潔く、戻る勇気も必要です。
ということで、、まとめます。
❶ 推敲の鉄則は放置プレイ。
❷ 最低10回は推敲しよう。その際は、足すより、削る。
❸ しかし、文章のもつ勢いをそぐ推敲はしない。
エッセイを書くことは、とても楽しい作業です。
これを読んでくださった方は、たぶん、その楽しさに魅せられているヒトでしょう。
これからも、書き続けてくれることを願っています。
let’ enjoy writing!
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