現場から見たプログラミング教育〜スクラッチはやっぱり王道のプログラミング教育ツール〜総合的な学習の時間での活用方法

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今回は、 scratch(スクラッチ)の総合的な学習の時間における活用方法についてお話しします。

 

総合的な学習の時間における scratch(スクラッチ)活用方法
 scratch(スクラッチ)に登録する方法

総合的な学習の時間における scratch(スクラッチ)活用方法

 

文部科学省は「小学校プログラミング教育の手引き」という文書を出して、教員への啓発を図っているのですが、令和2年2月に出た最新版(第三版)の1番のトピックは、総合的な学習の時間に行う実践事例が増えたことです。

 

ということで、文部科学省は、このプログラミング教育が総合的な学習の時間との親和性が高いことを認めていることにもなります。

 

 

ですので、今回は、総合的な学習の時間におけるプログラミング教育の実践を見ていきます。

 

 

 

総合的な学習の時間とは?

 

総合的な学習の時間とは、前の前の、学習指導要領改定によって、平成14年(2002年)より始まった学習です。

「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる」ことを、ねらいとしています。

当初、この総合的な学習の時間が現場に入ってきたとき、相当な混乱をもたらしました。

その、あまりにも漠然としたカリキュラム、そしてあまりにも多い105〜110時間という時数(これは週3時間を意味します。現在は70時間まで縮小されています。)、さらには、セットで入ってきた「生きる力」という、何がなんだかわからないキーワード、、、、

そうしたことから、実は、総合的な学習の時間に何をしていいのかわからない混乱期が、けっこう長く続いたのです。

さらに、その時の改定(いわゆる2002年版)は、例の「ゆとり教育」と呼ばれた改定であり、その後、猛烈な「ゆとり」に対する批判が巻きあがったこともあり、総合的な学習の時間(名前も収まりが悪い)は、なんとも収まりの悪いまま、今日まで、一応、マニュアル的な時間に収斂して、存続しているのです。

まあ、一言でいうなら、理念は立派、でも、今の教育環境を抜本的に変えない限り、現実的ではなく、運用が伴わない、そんな学習です。

 

ということで、収まりの悪い総合的な学習の時間に、収まりの悪いプログラミング教育を入れ込む、ということは、確かに、収まりがよくなるひとつの知恵なのかあ、と、ちょっとうがった考え方もしてしまう、文科省の手引き改定でもありました。

 

とはいえ、現状では、

確かにプログラミング教育を行うフィールドとして、今、一番適しているのは総合的な学習の時間なのでしょう。

 

ということで、総合的な学習の時間にプログラミング教育を入れ込んだ学習指導案を提示したいと思います。

この指導案を作るにあたっては、つくば市、文京区等の先進校の実践を参考にさせていただきました。

 

 

 

第3〜6学年 総合的な学習の時間 学習指導案(プログラミングで人を笑顔に)

 

1 単元名 「プログラミングで人を笑顔に」

 

2 配当時数  5時間

 

3 活動時期  3年生(10月)・4年生(8/9月)・5年生(5月)・6年生(5月)

 

4 単元の目標

身近な生活や社会の中でコンピュータが活用されていることを知り、それらがよりよい生活や社会のために役立てられていることを理解する。

友達と協力して活動したり、コンピュータを活用して自分たちの生活や社会をよりよくするためにできることを考えたりする。

プログラミングソフト「Scratch」に慣れる。

 

5 プログラミング教育との関連

問題等を分解して理解する能力、やるべきことを順序立てて考える能力を育む。

 

6 単元の指導計画(5時間)

学習活動
課題を設定する。「プログラミングで人を笑顔にしよう」
プログラミング教材を使って体験しよう。
3・4自分なりのプログラムをつくろう。
発表会をしよう。

 

◎ 本単元では、意図したとおりキャラクターを動かすプログラムを考える。

◎ プログラムを考える中で、命令を順に実行する「順次処理」、命令を繰り返す「繰り返し」、条件によって命令が変わる「条件分岐」といった要素を体験的に理解する。

◎ プログラムの要素を理解することにより、身のまわりのコンピュータが、どのような仕組みで動いているか考えるきっかけとする。

 

◎展開

学習活動指導上の留意点
1 学習課題を知る。

 

プログラミングで人を笑顔にしよう

◎5時間の学習活動の流れを知る。

「Scratch」というプログラミングソフトで、

 

①動画を見ながら、「ねこがねずみをおいかけるゲーム」のプログラムをつくる。

 

②自分なりのプログラムをつくることに挑戦する。

 

 

 

 

5時間の主な流れ

 

① スクラッチを個人登録する。

【プログラムを保存するために】

 

② 動画を参照しながら、「ねこがねずみをおいかけ、ねずみは、ねこに捕まらないように、家に戻る、というゲーム」をつくる。

 

③ 作ったゲームに自分なりの工夫をつけくわえたり、新たなプログラミングに挑戦する。

◎ゲームをつくることで、人を笑顔にしていく、というねらいを押さえておく。

 

◎スクラッチを扱うスキルの習熟に力点を置いて、活動をすすめる。

 

◎3~6年生それぞれの発達段階に応じた、ペア、グループ、個人などの学習形態を採用する。

 

 

 

 

 

今回の学習は、スクラッチというソフトに慣れる、ことに主眼を置いているが、プログラミングするうちに、その楽しさに触れ、さらに「人を笑顔にする」プログラミングに挑戦していく心情を涵養していきたい。

 

【授業を円滑に進めるための情報】

 

スクラッチに登録する方法

では具体的に見ていきます。

 

①「Scratchに参加しよう」をタップする。

 

② ユーザー名、パスワードをつくる。(ユーザー名は使われている場合があるので、使われていないものにする)

 

③ 日本(Japan)を選ぶ。

 

④ 生年月日を入れる。

 

⑤ 性別を入れる。

 

⑥ メールアドレスを入れる。

 

⑦ ここをクリックしてスタート。

 

 

ねことねずみゲームの作り方

 

ここで説明することは、以下の動画を参考にしています。

YouTube

ビジュアル型プログラミング言語の基本的な操作を手順ごとに説明した教材です。Scratch ねこから逃げるプログラムを作る…

【 出典元;文部科学省/mextchannel〈scratchねこから逃げるプログラムを作る「はじめに・基本操作」〉】

 

① ここで使用するキャラクター、ねこ、ねずみ、家を呼び出します。

 

ねこの顔のアイコンをクリックしてキャラクターを追加します。

 

 

Mouse1をクリックします。

 

 

同様に「家」を選択します。

さらに背景を準備します。

背景は、Blue Sky2  と Hearts を準備します。

 

 

続いて、背景を自分でつくります。

 

 

この背景は失敗したときのものなので、「失敗」と名前を変えます。

 

 

他の二つの背景も、それぞれ、「開始」「成功」と名前を変えます。

 

ここまでが基本操作になります。

続いて、実際にねこ、ねずみを動かすプログラムをつくります。

 

参考動画は以下です。

YouTube

ビジュアル型プログラミング言語の基本的な操作を手順ごとに説明した教材です。Scratch ねこから逃げるプログラムを作る…

【 出典元;文部科学省/mextchannel〈scratch ねこから逃げるプログラムを作る「ねこ・ねずみを動かす」〉】

 

ねこを動かす

 

まず、ステージで、「開始」背景を選びます。

続いて、スプライトで「ねこ」を選びます。

最後にタブで「コード」を選びます。

 

 

【ねこを動かすコード】

このようなコードをつくります。

 

コスチュームから「ねこ」のコスチューム1と2を確認します。

続いて、コードを次のように直します。(「次のコスチュームにする」を入れます)

 

 

【ねずみをマウスにくっついて動くコード】

こうしたコードも作ります。

 

 

背景を変える 動きを止める

 

 

参考動画が以下です。

YouTube

ビジュアル型プログラミング言語の基本的な操作を手順ごとに説明した教材です。Scratch ねこから逃げるプログラムを作る…

【 出典元;文部科学省/mextchannel〈scratch ねこから逃げるプログラムを作る「背景を変える 動きを止める」〉】

 

ねずみが家にたどりついたら、背景を変えて、ねこを止めるプログラムを作ります。

 

ねずみがねこにつかまったときのプログラムをつくります。

 

最終的には、こんなコード(プログラム)になります。

 

 

 

 

 

こんな感じで、まずは、一度、みんなでつくってみます。

すると、子供たちは、自分のプログラムで、ゲームがつくれた満足感から、さらに、工夫を重ねて、自分だけのゲームをつくりたい、と思うことでしょう。

そこで、例えば、じゃあ、つくったプログラムで、下級生に遊んでもらって、楽しいひとときを過ごす会を開こうか、などと、今回のねらい、「プログラミングで人を笑顔に」という相手意識をもたせたねらいに迫る発問で、この活動に意味を付与する、ということです。

 

ということで、いかがだったでしょうか。

もしなにか、これからの教育活動のヒントになれば幸いです。

 

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